あまりにも大きな声なので、男性社員らが集まってきた。
彼らの中の数名は「確かにFさんが数日前に自慢していた」
「間違いなくFさんのだ」「中に刻印も入っている」と言われて外してみると確かにそこには『dear F From◯』と入ってた。
(外ばかり気にして気付かなかった私・・・)
指輪は当然のように取り上げられ、社長の前に泥棒として突き出され、結局その後、解雇にされた。
私もまだ20代前半だったので解雇とか泥棒と言われたことがとても恥ずかしくて、このことは誰にも言わなかったし、何より形見を無くしたことが悔しかったし、親戚に知られるのも怖かった。
その後、主人の転勤に伴い、引っ越して指輪とは永遠にさよならのはずだった。
で、数年後の春。
田舎の本家の大きな法事があり、事件から初めて親戚に会った。
(地元で泥棒と言われてるのじゃないかと思って帰ってなかった・・・オバカorz)
その末席にFを見つけた。
なんと、遠い親戚のひとりと結婚していたらしい。
乳児を抱いてたが、その指にあの指輪がはまってた。