あの時の親父の顔と言葉を、俺は一生忘れないだろう。
俺達が病院に着いたとき、母親はどうしようもない状態だと言われた。
医者は最後に傍にいてあげてくださいと言い、部屋を出た。
それから少しして、母親は息を引き取った。
その後、母親があの時間に外にいた事を父から聞いた。
買い物に行くと言って出て行き、その帰りに車に轢かれた事。
現場のビニール袋の中には、アイスが一つだけ入っていた事。
救急車の中でずっとごめんねと呟いていた事。
その時、俺のために母はアイスを買いに行って事故にあったとわかった。