俺はサッサと、会社の寮を申請して、今のアパート解約。
まあ、アパートの方は1ヶ月分の家賃がいったけどね。
それで、I美に引っ越すことを告げた。
I美は驚いてたけど、二人で暮らすには狭いとか色々言って、A太んとこの古い二階建てを、あからさま、普通に見つけて借りたからそこに引っ越すぞと告げた。
勿論、I美にはA太のことは知らせてない。
その古家に行き着くまで、俺とA太は色んな下準備したんだよ。
A太は機械工学出身者で、ICレコーダーとか、中古で買ってきて、タイマーとかで音が鳴るように作ってくれたり、あとは太いロープ。
たまたま、俺の職場に美容院の家の人がいて、俺はそこで大量に髪の毛もらった。
後一番高かったのは、ラ/ブ/ド/ー/ル?
なんか、正式名称解らんがシリコン製の、むちゃくちゃ本物っぽい人形2体。
そっくりなのをオークションで購入した。
あと、その人形に着させるネマキなる着物?
そんな風に準備整えて、彼女とその家に引っ越した。
2階だったが、2階部分には、色んな小物とかしまったりしてたから、あんまり立ち入らせたくなくて、元から置いてあった箪笥とかに御札張ったり、押入れに絵の具の赤茶を溶いて、吹き付けたり色々と不気味にしあげといた。
あと、畳に酢をまいて匂わせたりとか。
そしたら、やっぱり彼女、
「ここ、変じゃん。なんか怖い」
って、言い出した。
まぁね。周りも人とかいねーし。夜も真っ暗だし。
俺、たまらず「実家帰れば?」って言ったよ。
そしたらI美、「ヤダ!ヤダモン」だって。
昔はなんかこういう物言いが可愛いって思ったけど、今は氏ねくらいしかないよ。
どうせまだ、あのバイク男くんだろ。
どーでもいいけど。
俺は次の日の朝、仕事向かう前に、もらった髪の毛を浴室にまいた。
I美は働いてないしまだねてた。
あと、見事なくらいにA太がレコーダー細工してくれててタイマーで、水の音がピチャピチャするとか、コツンコツン的な音を演出大成功。
まあ、俺らがこういうの録音したんだけど。
風呂入ってピチャピチャの水の音とか、畳をカリカリやるとか、廊下で空のペットボトルをうちわで転がしたり、お経とかも入れてみたけど、すっげーわざとらしくて没になった。
やっぱりすげぇ効くのは、カリカリと、水の音、あと、ペットをカラカラ転がす音。
あと、畳をカリカリ爪で引っかくのもいい感じだった。