話しかけたら目を開く、
動くものを目で追う、
音がした方に反応する。
そんな基本的な反応はするけど、喋ることも、
ましてや私を認識することもできなかった。
そのまま半年が過ぎ、一年が経過し、二年が経過し、
三年目で母が目覚めたと聞いた。
聞いたというのは、私が母を突き落としたことで
今で言うサイコパスというのか、そんな扱いを受けて、
子供の情緒を育てる的な特殊な病院に行っていて、
母に会わせてもらえなかった。
動かない母をコロすのは簡単だから
私が母をコロすことを懸念されたのかもしれないし、
母に会わせてショックを受けさせるのを防ぐため
だったのかもしれない。
今となってはわからないけど、
母とは意識が戻ったあともすぐには会えなかった。
手紙を書くことは許されたので、
病院で色紙にクレヨンで手紙を書いた。
「おかあさんごめんなさい」
「おしてごめんなさい」
とごめんなさいばかりを書いた手紙だった・・・