でも、相手は怒り狂っているしヤー系の風体。
半端なく怖いので、合点がいかないながら、いつも謝罪してはどうにか帰ってもらっていた。
神経質な人なのかな・・・。
そのうち、彼が怒鳴り込んでくる事がなくなったかわりに、妙な
「ドスッ! ドスッ!」
という音が聞こえてくるようになった。
床からだ。
という事は、階下の住人が、何かを天井にぶつけているに違いない。
うるせーのはそっちだろ! いや・・・これはもしかして、俺への仕返し・・・?
なんか気味が悪くなって、どうしようコレと悩んでいたところ
階下の住人が唐突に逮捕された。町中で知らない人をなぐったという。
彼は重度のシャブ中で、かなり精神を病んでいたらしい。
俺がうるさいというのも幻聴・幻覚の類いだったに違いない。
そして、大家が教えてくれたんだけど、ゴミで散乱した室内に
アルミの棒に出刃包丁をくくりつけた即製の槍があって、
それで執拗に天井を突いていたらしい。
天井は板や梁がすっかりえぐれ、クレーター状の穴になって
もう少しで俺の部屋の畳が見えるところまできていたらしい。
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