斎場を出て各々携帯を調べたら確かに同時に着信があった事がわかった。
それも非通知。
非通知着信拒否設定も意味がなかったらしく、女の子の中にはパニックに陥る子もいた。
喫茶店に入って、これまでの事を話し合った。
飲み会に来ていなかった連中に説明をしたり、逆に俺たちが知らなかった他の事件について教えてもらったり。
結論として、七くなった彼女はかなり不気味な存在であることが判明した。
俺の知ってる彼女は内向的。
おとなしく、どちらかといえば地味。
控えめな人好きな友人のチョイスなので、あまり気にはかけなかった。
飲み会でも喋らずに黙々と飲んでるタイプ。
ブスでも美人でもない。
というか、印象が薄くてすぐに忘れてしまうんだ。
覚えてるのは貝殻が好きだった事。
いつか、店先でインテリアの貝殻を手にとって耳にあてていた。
「私の耳は貝の耳、海の響きを懐かしむ。」と口ずさんでいた。
多分詩だと思う。
「それ、海の音じゃないよ。自分の体の中の音が反響してるんだってさ。」
と、ロマンの欠片も無い俺が茶化すと、ぼんやりした生気の無い彼女の顔に一瞬笑みがのぼった。
「〇君もそのうち自分の貝殻に耳を傾けるようになるよ。今にね。きっとそうなるよ。」
そうかな、楽しみだね〜なんて笑って肩をすくめてみたが、彼女は真剣そのもので反応の薄い彼女にしちゃ、珍しいなくらいにしか思わなかったんだ。
彼女の言ってた事が、今回の件だったのかは最後までわからない。
他の奴も彼女の風変わりさに気付いていたらしい。
ある女の子は彼女が他界する一ヵ月前に・・・