それが、ものすごいオーバーアクションで振りかぶってきて、まるで野球のピッチングのようでした。
なぐられるの嫌だったので、Bの腹に前蹴りを入れました。
ダメージを与える蹴りというよりは、相手を吹き飛ばして、距離をとるための蹴りです。
ところが、その蹴りでBがガックリと膝をつき、食べたものを吐き出しました。
Bの打たれ弱さにビックリしましたが、どうやらCとDは私以上に驚いたようです。
二人ともかなりビビってるらしく、呆然とした表情で立ち尽くしています。
「僕、もう帰ってもいいかな」というと、Cが「あ、ああ」と完全にビビった様子で言うので、その場を立ち去りました。
その後、しばらくは仕返しされるのを恐れて、いつもとは違う道を通るようにしていました。
なのに、その四人組にまた出会ってしまったのです。
A「アンタ、さがしたぜ」
私「復讐にきたのか?」
もう、私はビビってはいませんでした。
A「違うよ。アンタ、空手やってるってのは本当だったんだな。オレらケンカ強いほうでさ、あんなことになったことねぇんだよ」
え、あれで、ケンカ強いほうなの? DQNってどんだけ体力ないんだ、と思いましたが黙ってました。
「アンタ、どこの道場通ってんの? オレらもそこに通いたいんだけどさ」
最初はその話を信じなかったのですが、彼らはマジだったらしく、道場の場所を教えると、本当に入門してきたのです。
彼らは全員、私よりひとつ年下だったこともあり、それから、私のことを先輩と呼ぶようになりました。
そして、それから、10年たちますが、まだ彼ら全員と交流があります。
B,C,Dは空手をやめてしまいましたが、私とAはまだ道場に通っています。
Aはときどき言います・・・