案の定、君たちに与えるぐらいならドブに捨てた方がマシだと突き放された。
私は何でもするからとお願いした。
彼は難しい顔をしながら暫く腕組みをして考え込んでいた。
元夫が私を雇うと言った。
給料は手取りで月70万。
他の社員の手前、会社で採用する訳にはいかないから家政婦として雇うと言われた。
朝ご飯と晩ご飯、そしてお昼のお弁当、掃除洗濯、熱帯魚の世話まで家の中のことを全てやれと言われた。
私は夫に相談してその提案を受諾した。
しかし話はそんなに甘くはなかった。
お弁当は朝晩の残り物で作ると凄く怒られた。
70万の給料を貰ってる自覚がないと言われた。
元夫が夜8時過ぎに帰宅して晩御飯を食べてそれを洗ってから元夫の車で帰宅するという流れ。
必然的に夫を世話する時間や、末っ子の世話をする時間が殆どなくなった。
帰りは自分の足で帰るからと拒んだが、俺の送迎も含めて仕事だと考えろと言われた。
正直そのとき彼の意図をよく理解していなかった。
夫は元夫との男女の関係を疑うようになった。
口には出さないけど、なんとなくそうなんだろうなという素振りを見せるようになった。
だから私はハッキリ
「仮に男女の関係を求められるような事があれば、この仕事は辞めるから」
と言って彼を安心させた。
彼はしばらく微熱を繰り返していたが、その後小康状態に落ち着いた。
あるとき、元夫の友人に海外出張するので家具一式を預かって欲しいと頼まれ、空き部屋に運び込まれたことがあった。
手伝った後、大汗を拭っていたらシャワー浴びてきたらと言われた。
ビクッとした。
それを見て彼は嘲笑した。
「俺は君の旦那と違って弱ってる男から女奪い取るような卑怯なことはしないよ」
と言った。
私はうな垂れた。
毎日朝の7時から夜の10時まで働いた。
必然的に家のことは義母と上の子たちに任せっきりになった。
あるとき突然義母から私の携帯に連絡が入った。
夫がリビングで首を吊っていると言って泣き喚いていた。